「実家の相続手続きをしようと思ったけど、権利証(権利書)が見当たらない…」
先日、佐世保市のお客様でご相談いただきました。これは相続のご相談で、実は非常によくいただくお悩みです。結論から言うと、通常の相続登記では、権利証(権利書)は基本的に不要です。紛失していても、多くの場合は問題なく手続きを進めることができます。
そもそも権利証とは?
「権利証」や「権利書」というのは通称で、法律上の正式な呼び方ではありません。平成17年の不動産登記法改正より前に発行されたものは「登記済証」、改正後に発行されたものは「登記識別情報通知」(12桁の英数字が記載された書類)と呼ばれています。呼び方が変わっただけで、役割としては同じものです。
なぜ相続登記には権利証がいらないのか?
通常の不動産売買では、売る人(旧所有者)と買う人(新所有者)が共同で登記を申請するため、旧所有者が「確かに自分の意思で売った」ということを証明する手段として権利証が必要になります。
しかし相続登記は事情が異なります。旧所有者である被相続人はすでに亡くなっているため、その方の意思確認はそもそも不可能です。そのため相続登記は、亡くなった方の戸籍謄本等によって相続の事実を証明すれば足りるとされており、相続人が単独で申請できる仕組みになっています。この「単独申請」という性質上、権利証や登記識別情報は原則として添付書類にはなりません。
「権利証がないから相続登記ができない」わけではない
例外的に権利証が関係してくるケースが2パターンあります。
① 権利証が必須になるケース:遺贈(相続人以外への遺贈)
受遺者と遺言執行者(または相続人全員)による共同申請となるため、この場合は権利証が必要です。ただし令和5年4月1日の改正により、「相続人への遺贈」であれば単独申請が可能になり、この場合は権利証は不要になりました。
② 権利証があると手続きがスムーズになるケース:登記簿上の住所とつながらない場合
被相続人の登記簿上の住所と、戸籍の附票などで追える住所が一致しない(つながらない)ケースでは、本来であれば住民票の除票や戸籍の附票で同一性を証明します。しかしこれらの書類が保存期間切れなどで取得できない場合、権利証を代わりの証明書類として使うことができます。この場合の権利証は必須ではありませんが、手元にあれば手続きが円滑に進みます。
以上のように、通常の相続(法定相続分での相続、遺産分割協議による相続)であれば、権利証がなくても相続登記の手続きに支障はありません。「権利証を探せなくて手続きが止まっている」という状態は、実はほとんどのケースで解消できます。
相続登記・不動産登記のご相談はくらしな司法書士事務所へ
権利証が見当たらない、そもそも権利証があるのかも分からない、というご相談は珍しくありません。まずは現状をお聞かせいただければ、必要な書類や進め方を整理いたします。佐世保市、近隣地域から相続登記や不動産登記に関するご相談を多くいただいております。お気軽にご相談ください。
なお、当事務所では現在、パートナー司法書士の募集も行っております。佐世保市、近郊の司法書士の求人をお考えの方は、[パートナー司法書士募集ページ]もあわせてご覧ください。
